ZOZOはアパレルショッピングモールのゾゾタウンを提供/運営する会社です。プライベートブランドやゾゾスーツなど、それまでの枠に止まらず面白い仕組みで話題を作ってくれます。前期素晴らしい決算を発表したので内容を見てみます。
https://corp.zozo.com/ir/20210427-13759/
2021年3月期 決算短信
2021年3月期 決算説明会資料
質疑応答集
2020年3月期は様々な施策を打ったにもかかわらず売上や利益が減速していましたが、2021年3月期は驚異的な成長を遂げた決算となり、売上の20%弱成長も凄いですが、前期300億弱であった利益が450億に伸び、利益は1.5倍を超える成長です。利益が大幅に伸びた原因としては前期はZOZOが原資を負担した一律割引キャンペーン「ARIGATO」の終了によるものが大きいとのことでした。
貸借を見ると、資産は前期から微上昇していて利益が大幅に増加しているため現金が増えています。固定資産の建物が大幅に増えているものは本社移転費用を計上しているのではと予想しています。負債の特記事項としては、ポイント付与サービスを廃止に伴うポイント引当金の減少と、おそらく本社移転時の現状復帰などによる資産除去債務の増加かと思います。
利益を見ると、ポイント販売促進費の減少は、前述の通りポイントサービス終了に伴って削減できています。荷造運搬費の増加は、平均出荷単価が下落したことで相対的に増えています。前期と広告宣伝費はほぼ変わっていないにもかかわらず、あれだけ業績が伸びたのは大変心強いですね!
キャッシュフローを見ると、好業績による素晴らしい数値が出ている一方で、成長企業のため賞与引当金や、退職給付関連など人件費が大きく積み上がっていることは懸念ではあります(成長段階の企業なので比率が大きくなるのは当然ですし、利益額と比較すると比率は小さいため大きな問題にはならないと思ってます)。
事業ごとに見ると、ゾゾタウン事業は10%の成長、PayPayモールが300%を超える成長となっています。大型キャンペーンを2度実施したことも寄与したでしょう。以前ヤフーの川辺氏が「一休とヤフートラベルのように、ゾゾタウンとPayPayモールも住み分け共存できる」とおっしゃっていましたが、どちらも大きく成長でき、まだまだ成長の余地があるように見えます。好調な事業と比較してプライベートブランドは規模を縮小しているようにも見えます。
今期の予想は売上と利益ともに10%の成長を見込んでいます。PayPayモールの取り扱いが順調に伸びれば達成可能かと思いますが、地上波では楽天のファッションアプリのCMが絶えず流れているなど新しい競合も来ています。現時点ではサイズの絞り込みができないなど基本機能が備わっておらず、楽天経済圏のアプリという強みしかないと思ってますが、中長期的に大きな競合になってくるでしょう。
目先のECも大切ですが、ゾゾスーツ、ゾゾマット、ゾゾグラスのようなマルチサイズプラットフォーム事業を、より成長させることができれば、モール型ECサイトにとどまらず、ユーザー自身が体や足の形を記録でき、ユーザー自身が自分のデータを服飾企業にZOZO経由で提供して、合致する商品を探すという新しい買い物体験の提供が可能になるでしょうし、ZOZOにとって継続的莫大な利益になると確信しています。
懸念としてはモール型のため加盟店が自社ECに力を入れるなどがきっかけで大量離脱するリスクがあり、プライベートブランド事業が減速していることも痛いですね。長年モールを運用していて、メーカーさんと信頼関係が出来上がっているため、そのリスクはあまり大きくないのでは思っています。現時点の株価(3690円)は割安感も割高感もないと思うので楽天ファッションアプリの評価推移も注視しながら投資する時期を慎重に考えたいです。
以上、よろしくお願いいたします