先日出前館の決算を読んだのでウーバーの決算も見てみます。日本においてウーバーイーツはすごく広告費を注ぎ込んでいるように見えますが、今どのような状況なのか?確認したいです。
決算
https://investor.uber.com/financials/default.aspx
Press Release
取り扱い高は35億ドル、利益は-3億6000万ドルという大幅な赤字となりました。売上は2020Q2で大きく減速しましたが、そこからQごとに大幅に回復しています。利益も、売上と同じく2020Q2の-8億3000万ドルからQごとに大幅に縮小しています。
財務
貸借を見てみます。資産をみると、Q1の間でShort-term investments(短期借入金)が3億ドル減少(1,180M→819M)しています。利益の-3億ドルの減少はここの減少で受け入れているようです。それ以外だとInvestments(投資)が27億ドル増えていて、Uberが投資しているDiDiなどの資産価値が増えたことによる増加に見えます。負債は全項目が満遍なく少しずつ増えて合計微増(19,498M→ 20,584M)になっています。資産(34,655M)に対する負債(20,584M)の割合を考えると、赤字を続ける成長企業にしては資産がすごく多く安心できる状態かと思います。
利益は、事業の損失額が15億ドルという莫大な額になっていて、投資をしながら拡大しているのが見て取れます。販売費及び一般管理費が半分以下(859M→464M)になっていて、収益構造の改革か、CMなどマーケ費削減したことによるものかもしれません。
キャッシュフローは経費が増えているように見えるものもありますが、トータルでQの支出が減っていて心強いです(前期比較は赤字額がかなり多いので参考程度の情報です)。
事業
取り扱い高をみると、前期までは相乗り事業の割合が多かったが、在宅需要でデリバリー事業が一気に拡大して比率が増えています。飲食店応援機能であったり、投資先の企業が成長することでUberのかなり大きな収入につながっているように見えます。
統括
今後の展望を考えると、456億ドルの資産に対してQの事業による損失が15億ドルの赤字という状況のため、事業の継続性という観点ではまだまだ余裕があるように思います。多数の国で事業提供するため、イギリスで労働に対して最低賃金を払っておらず補償する金額を計上するなど、さまざまな不確定要素があるかと思います。そのリスクも加味して業績は急回復しているにもかかわらず4月末株価は急落しました。グロース株だとは思いますが、成長を加味して回復を見越した株価になっているため、今から投資参入は割高でリターンもあまり期待できず、ミドルリスクローリターンだと思います。
日本では、menuがワンピースとコラボしたCMで大幅な訴求をかけるなど、様々な事業者が参画してきて、ますますフードデリバリー事業に資金が集まっているため、継続注目したいですね!
参考)ウーバーの総利用額と売上の推移
総利用額
期 | 相乗り | デリバリー | 荷物配送 |
2021Q1 | 6,773 | 12,461 | 302 |
2020Q4 | 6,789 | 10,050 | 313 |
2020Q3 | 5,905 | 8,550 | 290 |
2020Q2 | 3,046 | 6,961 | 212 |
2020Q1 | 10,874 | 4,683 | 198 |
2019Q4 | 13,512 | 4,374 | 219 |
2019Q3 | 12,554 | 3,658 | 223 |
2019Q2 | 12,188 | 3,386 | 167 |
売上
期 | 相乗り | デリバリー | 荷物配送 |
2021Q1 | 853 | 1,741 | 301 |
2020Q4 | 1,471 | 1,356 | 313 |
2020Q3 | 1,365 | 1,451 | 288 |
2020Q2 | 790 | 1,211 | 211 |
2020Q1 | 2,467 | 527 | 199 |
2019Q4 | 3,050 | 418 | 219 |
2019Q3 | 2,895 | 645 | 218 |
2019Q2 | 2,376 | 595 | 167 |
以上、よろしくお願いいたします。