イーブックの決算

イーブックイニシアチブジャパンは電子書籍販売事業を主とするZHDの会社です。決算を見てみましょう。

決算

https://corp.ebookjapan.jp/ir/library/earnings
2021年3月期 決算短信

売上は前期比較して増収増益となっていますが在宅需要で一番恩恵を受けたといっても良い事業に対して少し寂しい決算です。配当はなし。

項目 2020通期 2021通期 伸率 2022予想
売上
212億
299億
40.7%
339億
営利
7億
9億
20.7%
13億
経利
7億
9億
20.2%
13億
1株純資産
669
788
17% -

財務

決算が好調で流動資産は全項目が増加していて25億円も増えています。負債は「買い掛け金」と「未払い金」が7億円増えていて、(想像ですが)電子書籍は出版社から業務提携/業務委託によってイーブックが販売するため、ユーザーからの入金を受けて、手数料を抜き、出版社に入金するという流れかと思います。前述の負債増は売上増加に伴い提供元への入金額も増えただけかと思いますので懸念ではありません。純資産は利益余剰金が微増、その他はほぼ動きなしです。
 利益は原価と販売費が前期と比較してすごく増えています。原価(135億→188億)は電子書籍のコンテンツ充実のため、販売費(69億→101億)は広告費の増加と思われます。投資をして結果増収増益につなげていて好感です。
 キャッシュフローの売上債券や未収入金の増加は、売上増に伴うかと思いますので特に問題ないかと思います。

事業

電子書籍の販売を主たる事業にしていて、特徴としては漫画本の1話ずつなど細かい単位で購入が可能であったり、ZHDのクーポンとPayPayのキャンペーンの波に乗れる特徴があります。2020年の電子マンガ市場は31%成長の3,420億円となり、イーブックの電子マンガ成長率は41%であり市場の成長率を上回ることができました。
 昨年は鬼滅の刃最終巻の発売日0時に大量のユーザーがイーブックに殺到して、一時的にサービスのレスポンスが悪化しましたが、すぐ改善したため負荷に対して堅牢なシステムだと思いました。
 ZHDではLINEマンガと事業領域が重複するため事業集約が進むと思いますが、今期どのような事業体型になるか注視したいと思います。レビューコメントを解析して、商品にキーワードをつけて感情を可視化するような、購入訴求機能を実装するなど話題になりました。

統括

継続成長業界ですが、2018年03期から前期まで5期連続で増収増益を繰り返していて、グロース銘柄ではあるものの計算が立つ素晴らしい事業計画だと思います。まだまだ今期や来期は成長の余地があると思います。販売プラットフォームなので、いくら良いサービスを作ったとしても、コンテンツが駄作だと数字はでません。2020年は
『鬼滅の刃』の最終巻というピークが来たのでその数字がかなり大きいはずです。2021年にも大きい波が出てくることを期待したいです。ソフトバンクの3000万近いスマホユーザーや、3500万のPayPayユーザーに訴求できる時点で、この業界において相当有利な条件だと思います。しかし、本当に質の良いコンテンツを早期に揃えられるか?で勝敗が決まると思います。めちゃコミックやコミックシーモアは出版社と組んで、特定の作品をより早く提供するなどして差別化を図っているため、機会を逃さないために、サービスのUIやAIも伸ばしながら、コンテンツの充実にも力を注いで欲しいですね!

時価総額が約145億とPER15倍は、成長途上の業界で増収増益を繰り返している企業に対して安すぎる評価です。LINEマンガとのやりとりは気になりますが、イーブックに継続投資するという明確なメッセージが出れば懸念なしで全力買いたいと思います。2021年3月通期が過去最高益となり、今期も更新見込みなのでPER30倍行っても不思議ではないと思っています。しかし冷静になって見ると、電子書籍販売業は手数料で稼ぐため利ざやが少なく、広告費もかさむため、強気に投資できない業種かと思いますので推移を見て判断したいです。

以上、よろしくお願いいたします