【決算確認】トマト銀行_2022年3月第3四半期

トマト銀行は主に岡山県に店舗を展開する地方銀行です。決算を確認していきます。

まずは今期の状況についておさらいします

前期の決算資料を確認します
https://www.tomatobank.co.jp/investor/finance/pm_pdf/202103.pdf

売上/利益は2016〜2017年をピークに徐々に下落している状況です。金融機関にとって一番重要な「預金残高」と「貸出金」は直近5年はほぼ横ばいの状況です。

https://www.tomatobank.co.jp/investor/ir_library/disclosure/2022/disc_2022_1.pdf

上記広報誌を見ると、現在は「第三次みらい創生プラン」の3年計画の2年目になり、2021/09時点の実績で目標値に順調にきている状況かと思います。

トマト銀行は岡山県に根付く金融機関ではありますがより規模の大きい中国銀行がいて、そことの棲み分けを見据えて事業を進めていく必要があります。広報誌には重点項目として以下3点の記載があります

  • お取引先に対するコンサルティング機能の発揮
  • 地域の面的再生への積極的な参画
  • 地域やお客さまに対する積極的な情報発信

表現方法は違いますが他の地銀と同じことを重点項目にしています。この分野は銀行だけでなく色々な業種から参画があり、継続成長するためにはそれらとの違いを打ち出し取引先から信頼(とお金)を勝ち取る必要があります。より規模の大きい同業他社がいて厳しい状況ですね。

2022年3月第三四半期

https://www.tomatobank.co.jp/investor/finance/earnings_pdf/r03_12.pdf

通期では順調ですが第三四半期単体としては大変厳しい決算となっています。例年同四半期と比較して利益の数字が大幅に落ち込んでいます。決算短信を見る限りでは人件費のような継続する費用と、臨時損益の増加が原因と思われます。第二四半期に素晴らしい数字が出て、通期の予想の進捗率が100%を突破しているためどこかで上方修正が出るでしょう。

事業的な観点

新しい事業や収益の仕組みが特になく強力な競合がいて今後も多数の競合が来ることを考えると、厳しい状況が続くでしょう。業界の見通しとしては銀行業の規制緩和が進んでいますが、直近で大幅に変わるわけではないですし、新しい収益を作らない限り地方銀行は今後も成長は見込めないでしょう。

特に懸念しているのが、トマト銀行のIT投資の意識の低さです。オンラインバンクは日立社のFINEMAXを使っていて、おそらく社内に専門職がおらず日立社に委託している状況と見て取れます。オンラインバンクの利便性もそうですし、専門職がいないことで社内の業務改善やデジタル化のスピードが遅くなり、まずトマト銀行がA社とかに自社のデジタル化/業務効率化のコンサルを受けないとダメですね。IT系の求人を出してないことも消極的な姿勢に見えます。

2/23時点で配当利回りは4.7%/PERは8.7と割安で高配当になりますが、利益が数年前にピークをつけて継続成長が予想できないことが大きいです。

個人的に中長期で考えると、岡山県内のベンチャー企業を金銭や経営から支援するような仕組みを行政や中国銀行などと一緒に作り、企業を育てて融資事業を積み上げていくなどが良いと思います(既に中国銀行はやってますが)。

銀行の主な収益源は投資信託や保険などの手数料収益のはずです。個人投資家が増えているが、主戦場はインターネット証券なので店舗で買う人は0人でしょう。金融機関が進めるのは手数料の高い投資信託ですし、優良な手数料の安い投資信託は勧めないので、顧客に沿った提案はできないはずです。その収益の柱を変えない限り業界の成長はないと思ってます。

ネットバンクであれば自宅で本人確認+口座開設までできますし、コンビニや他の金融機関のATMで出金もできるので、今後の地方銀行は中小規模の法人に対して関係強化や共生を目指して融資と回収のサイクルにより回すべきだと思ってます。