出前館 2022年8月第一四半期決算

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この会社は?

デリバリプラットフォームを提供している事業者です。自分も2000年代後半からピザやカレーの注文に利用していました(会社などで複数人で注文などしていました)。出前館とデリバリーシェアが主な収入源となっています。

決算内容

一旦利益は無視して売上の成長率で評価できればと思います。前年同期比で売上が2.5倍に増えていて素晴らしい成長を見せたものの、前四半期(Q4)と比較して初めて減収(104億→103億)となりました。また以下は3つの四半期の数字比較になります。売上はほぼ横ばいに対して赤字額が増えているので資金効率がすごく厳しい状況です。

決算期 売上 利益
2022/08Q1 103億 -89億
2021/08Q4 104億 -62億
2021/08Q1 42億 -31億

Q1同士で比較したら売上は2.5倍に伸びているが赤字は3倍
2021Q4と2022Q1を比較したら売上は横ばい利益は大幅減

事業について

出前館(注文の仲介)と配達代行が主事業です。特に2021年末から大型キャンペーンと称して送料無料キャンペーンやクーポンの配布を行っています。また地上波での広告も積極的でHIKAKINを使ったCMやEXITを使った配達員向けのCMを何度も目にしました。

2021年後半にフードパンダが日本市場から撤退するなど業界のふるい落としが進んでいると感じています。知名度的にもウーバーイーツが競合となり相手が事業縮小まではキャンペーンやクーポンの攻勢を続ける必要がありますね。この業界は配達員に対する賃金で揉めたり状況がすぐに変わるので、特に注視していきたいです。

今後について

単体の決算は酷いの一言ですが単体ではなくZホールディングス(以下「Z」)全体での相乗効果も含めて評価します。Zの決算で「ヤフーマートが10倍の成長!!」とドヤってましたがその配達に出前館のスタッフをお願いすることも可能ですし、アスクルさん、ZOZOさん、などECにおける配達の親和性は高いと思います。グループ会社というだけでユーザーの購買情報(配達先住所など)の授受などは直ぐにはできないので中長期の選択肢になるでしょう。

どのデリバリー業社も配達員の確保に苦労していて配達員の満足度(?)という謎指標で3冠を達成している出前館はそこが強みになるし、まだまだグループの資金力で事業継続すると思います。

赤字になるほど多額の投資を経て配達員の満足度が上がっていると思いますが、状況はすぐに変わって他の業者に移る可能性もあるため、3冠をアピールに執着せず配達員不足の解消や資金効率を上げるなど根本の対応もお願いいたします(配達員は掛け持ちが大半なので良い条件があれば一気に移るでしょう)。

ウーバーイーツさんは地上波でずっとCMを流し続けてまだまだ資金面で余裕がありそうです。ウーバーテクノロジーズ(UBER)の決算も見ていますが日本市場から撤退する予感は特にありません。

出前館の身内であるはずのPayPayでも一番目立つミニアプリにウーバーイーツを出してるためソフトバンクグループとしてもデリバリー事業ではこちらの方がトップラインが伸びると認識していると読めます。なので出前館はそこだけに注力せずグループの配達受け手なども選択肢に入れて欲しいです。

決算の内容はかなり厳しく今後も継続して投資しなければいけない状況ですが、中長期的に見ると長所の需要が増えていく見込みのため会社が継続成長できる方向性を見極めて欲しいです。